舞台『エレファント・マン』で、色々な役をやっておりましたが、その中のひとつが「添乗員」という役でした。短いシーンでしたがここにも歴史の流れがあります。
19世紀のイギリスで蒸気機関車が初めて走り、1840年代には鉄道建設ブームが起こります。そして1851年には世界初の万国博覧会がロンドンで行われます。このロンドン万博に客を運ぶため、安価な旅行プランをうちだして成功したのがトーマス・クック。「近代ツーリズムの祖」と呼ばれています。「添乗員」はそんな歴史の中で働いておりました。
ツーリズムが華やかになれば、旅先の見世物も賑やかになります。ツーリストが増えれば稼ぎ時です。観光の発展は、見世物の発展にもつながりました。もっと客を集めるための新しい仕掛けの登場です。その一例が、パノラマとジオラマ。
パノラマ
ある高みから全体を見渡せる景色
今では模型を意味することのほうが多いようですが、この頃は「透かし絵」を意味していて、ある切り取られた場面に後ろから光を当てて、まるで本物のように見せる方法で表された景色。(その景色の中にミニチュアが配置されていたみたいです。)
こう言いかえてもいいのだろうか
パノラマ
風景
風のように舞い上がり
遠くから、その高みから見下ろす者の景色
光景
光を当てられて移りゆく
ある場所の変化を、物陰から覗く者の景色
『エレファント・マン』に登場する模型を見ながら考えたことです。