高校時代の部活で「メンタンピン」というあだ名の先輩がいた。てっきり「めんたいこ」とか「タンメン」とか食べ物からきたあだ名かと思っていた。「メンタンピン」というのは麻雀の役の名前だということを知るのはその先輩が卒業する頃だったと思う。
ものごとを確かめもせず言葉の雰囲気で理解してしまうのは私の昔からの傾向であり、間違いのもとであり、誤解のもとであった。
麻雀などやったこともなくルールも知らないが興味はあるので、ことあるごとに「初めての麻雀」みたいな本を図書館で借りてくるが、この歳になってもさっぱりやり方が覚えられない。先ほどの「メンタンピン」も役と呼んでよいものかさっぱり分からない。これはもう麻雀のセンスがないものと諦めている。ただ、麻雀にでてくる言葉はとても好きだ。
嶺上開花(リンシャンカイホウ)
三暗刻(サンアンコウ)
海底撈月(ハイテイラオユエ)
なんのこっちゃ
中でも好きなのは
九蓮宝燈(チュウレンポウトウ)
なかなかお目にかかれない「いい役」の名前
...らしい
この役名には別名がある
「天衣無縫」
無邪気で飾り気のない美しい様子
「てんいむほう」
聞いたことはあった
でも私は勘違いしていた
脳内漢字変換を間違えていた
「天意無法」
天の心に法などない
この世は地獄だ
そして
さらにこうなる
「天意無縫」
この世で受けた傷は
それを繕ってできた傷痕は
天の心によって癒されてゆく
春の彼岸に